平成23年9月28日に、「日本ユネスコ国内委員会人間と生物圏計画分科会」が文部科学省で開催されました。そこで、綾町を中心とした地域が、ユネスコエコパーク(生物圏保存地域BR)の登録地として、正式に国内推薦されることが決定しました。来年6月ごろにはユネスコ本部(パリ)で登録の可否が判断されます。

綾生物圏保存地域候補選定にあたって

[1.これまでの経緯]

平成23年9月28日に、「日本ユネスコ国内委員会人間と生物圏計画分科会」が文部科学省で開催されました。そこで、綾町を中心とした地域が、ユネスコエコパーク(生物圏保存地域BR)の登録地として、正式に国内推薦されることが決定しました。来年6月ごろにはユネスコ本部(パリ)で登録の可否が判断されます。

綾生物圏保存地域候補選定にあたって

 綾の照葉樹林がユネスコの生物圏保存地域(BR)候補に選定されたことをまずは喜びたいと思います。世界500か所以上のBRをネットワークで結ぶこの制度は、世界の人々が多様で豊かな生活を実現・維持するために世界の生物圏を未来の世代に残そうとする壮大な計画です。世界には大きく10タイプの生物圏があり、照葉樹林はその一つです。そこにすべての動植物が生活し、人間の存在は「生物圏」に支えられています。生物圏を保全することが人間の生活の未来も保証します。BRは生物相の保全を担う主体はその地域に生活する人間だという考えから、同時に地域の社会経済的発展を目指すという考えで運営され、その点で単純に生物圏の保護を目指す既存の保護制度と差別化しています。しかし、それはあくまでよりよい自然保全を目指すためという点を忘れないで、本末転倒にならないようにしたいものです。綾が日本における新生BRの手本として評価されたのはこうした調和がある程度実現されている点であり、その上で日本でも数少ない大面積で質の高い照葉樹林として評価されると判断されました。世界的に希少で貴重な照葉樹林の保護の責務があらためて我々に課されたということです。これがユネスコの評価に通って正式決定となるように願いたいと思います。


1.これまでの経緯

平成22年 5 月10日 綾の照葉樹林プロジェクト連絡調整会議に、MAB計画委員会副委員長の酒井暁子氏(横浜国立大学准教授)が来町。
「人間と生物圏(MAB)計画」について説明を受ける。

8 月 9 日 綾の照葉樹林プロジェクト第12回連携会議で、地域づくりワーキンググループがユネスコエコパークへの申請を提言する。綾町長が「ユネスコエコパーク(生物圏保存地域;BR)」へ登録を目指す考えを表明。

10月26日~28日  ユネスコ関係者3人、アナ・パーシック氏(ユネスコ本部 MAB計画委員会)、洪善基氏(韓国国立木浦大学)、鈴木邦夫氏(日本ユネスコ国内委員会)が本町を視察。地域づくりワーキンググループが本町を紹介し、高い評価を受ける。

11月24日  関係市町村 (西都市、小林市、国富町、西米良村 )に「ユネスコエコパーク」について、連絡会を開催し説明する。

11月26日  町民に対し、「ユネスコエコパークを目指して!」のチラシを全戸配布する。

平成23年 1 月20日  綾町民に対し綾の照葉樹林プロジェクト事業説明会の中で「ユネスコエコパーク」の取り組みを紹介する。

5 月21日  「国際照葉樹林サミットin綾」で、「ユネスコエコパーク」に関する分科会を設ける。MAB計画委員会委員長の他、関係者が参加。

9 月28日  「日本ユネスコ国内委員会 人間と生物圏計画分科会」が文部科学省で開催され、正式に国内推薦が決定する。9月末日に外務省を通じてユネスコMAB事務局に提出。


2.正式決定までの日程

 ユネスコの専門家諮問グループによる検討を経て、問題なければユネスコMAB国際調整理事会に勧告します。その後、平成24年6~7月ごろに行われるユネスコの国際調整理事会(パリ ) で勧告を考思しつつ審査を受けます。そこで正式に登録されれば、国内では32年ぶりの5例目となり、ユネスコエコパークという名称で、初めての登録となります。


3.ユネスコエコパークが目指しているもの

 ユネスコエコパークは日本語通称です。正式には「生物圏保存地域(Biosphere Reserve;BR)といいます。ユネスコが昭和46(1971)年に発足させた「人間と生物圏(Man and Biosphere Programme;MAB)計画」の中心的事業です。生物多様性を保全し、人間と自然の共生と地域社会の持続的な発展を目指しています。日本では、昭和55年に屋久島、大台ケ原・大峰、白山、志賀高原の4地域が登録されています。

 また、ユネスコが登録するものに、世界自然遺産というものがありますが、こちらは手つかずの自然をそのまま守り続けるのに対し、ユネスコエコパークは、保全と利用の調和を目指すというもので、大きな違いがあります。

 このユネスコエコパークの理念は、綾町が半世紀をかけて目指してきた「人と自然の共生」そのものです。


4.綾地域が評価された点

①東アジアの照葉樹林帯の北限付近にあり、日本固有種が多い。
②日本に残されている照葉樹林の面積が一番広く、標高が高い地域にブナの自然林がある。
③平成17年から「綾の照葉樹林プロジェクト」に取り組み、照葉樹林を保護し、その周辺を復元することを目指している。
④有機農業などと連携した町づくりを通じ、自然と人間の共存に配慮した地域振興策などが行われている。


5.「綾ユネスコエコパーク」申請エリア

土地の利用方法によって3つの地域に区分されることになります。

核心地域(緑ゾーン)…厳格に保護される地域
(綾森林生態系保護地域 平成20年指定)

 緩衝地域(青ゾーン)…生態系に優しい活動に利用できる地域
(環境教育やエコツアー、研究等に利用)

 移行地域(黄ゾーン)…人が生活し生産活動を行う地域
(農業活動、居住、その他さまざまな利用)


6. 登録されると、どう変わるの?

 「綾の照葉樹林プロジェクトエリア」、そして「自然生態系を活かして育てる町」、この綾町全域を「ユネスコエコパーク」に登録することによって、自然と人間が共存し調和のとれた地域活性をさらに目指していくことになります。また、10年ごとにユネスコに定期報告することが定められています。
 国際的に評価されることで、国内外から訪れる人も増加するでしょう。


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