①10年前の水害に学ぶ
平成17年9月、未曽有の被害をもたらした台風14号。その災害から何を学び、どう生かしていくべきなのか。 災害に強いまちを目指すため、当時のエピソードやデータ、写真から被害状況や対処法を学び、これからどうすべきか考えます。

自分の経験を 基準に判断しては いけません。

[経験や知識は なかったのですが、 地域団結して災害 支援に努めました!]

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自分の経験を 基準に判断しては いけません。

宮崎市消防団 高岡分団長
鈴木 浩二さん(高岡町)

台風の前から降り続いた大雨で、大淀川は増水し、周辺の地盤も緩んでいる状態でした。台風が来た1日目の夜中に避難勧告が出され、私は消防車で地域の危険箇所や水門の巡回、浸水地域の避難誘導活動などを夜通し行いました。 朝になると二階まで水没した住宅もあり、ボートで救助された避難者もいました。救助された方は口々に「ここまで水量が多くなるとは思わなかった」と話していました。災害に対して過信は禁物です。災害は過去の経験や想定を大きく上回ることがあるので、避難勧告などの情報に注意して早めに避難しましょう。


経験や知識は なかったのですが、 地域団結して災害 支援に努めました!

北地区社会福祉協議会 副会長(当時)
菊池 佳代子さん(瓜生野)

当時は、災害支援体制が今のように整っておらず、被災者支援に悪戦苦闘した記憶があります。避災者の受け付けをはじめ、個別に必要な物資を聞いて回り、食料や下着などを配りました。被災後は、短期間に多くのボランティア支援に来ていただいたため、どの家庭に支援に行っていただくか、援助先の決定に戸惑うこともありました。しかし、日頃の付き合いから、支援が必要な家庭を把握しており、遠慮して支援要請を行わないご家庭などへの支援もできました。現在のような体制ではなかったものの、地区社会福祉協議会が中心となり、地域の団結力を生かして、被災者支援に努めました。


公民館に避難者が 集まり、全員が横になる スペースもないほどに!

下富吉自治会長(当時)
森 國彦さん(富吉)

川から水があふれ始めた9月5日、避難勧告の連絡があると、私は各班の班長に連絡を取り、公民館に向かいました。公民館に避難してきたのは約200人。畳の間だけでは足りず、板敷きにゴザを敷いて対応しましたが、全員が横になれるスペースはありませんでした。浸水で地区内が分断され避難者が数か所に分散していたため、避難状況の把握に苦慮しましたが、情報収集には携帯電話が非常に有効でした。 水が引いた後、私は地域と災害対策本部の連絡役として奮闘しました。このような水害は過去に経験したことがなかったため、時に本部の職員と口論になったこともありましたね。


データで分かる!

被害総額:約215億円
農林水産業や商工業、公共施設などの被害

住宅被害数:3,937世帯
床上浸水は3,053世帯で、内916件は全壊相当

避難者数(旧宮崎市地域):10,059人
台風が過ぎた後の避難者を含めると11,915人

総降水量:607㎜
大淀川上流域の記録的な豪雨もあり下流域の増水は長時間に


浸水被害は広範囲に

大淀川の水位が上昇し、地区内を流れる川の水が堤防を越えた地域もありました。


ボートでの救助の様子

ボートの代わりに、たらいや板を組み合わせたイカダなどを使った地域もありました。


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miyazaki ebooks編集部

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