パームスが、県内市町村にエールを送る本コラム。
今回は、高原と温泉と田の神さぁのまち、えびの市です。冬には樹氷やアイススケート。
こんな場所は県内には他にありません。こんなに昭和テイストが漂うまちも。

観光ブーム当時のままで 

[歴史ファンも鉄っちゃんも]

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観光ブーム当時のままで 

 えびの高原。京町温泉。肥薩線。古くからの湯治場に公衆浴場。まちの雰囲気もそうですが、えびの市はいまも昔のままの姿を変えずにもっています。端的に言えば、手札が昭和のまんま。例えるなら昔なじみの食堂。それもカツ丼しか置いていない定食屋です。

えびの米をはじめとする農業というごはんをベースに、えびの高原を観光という衣で巻いて上にドン!以上!!おいしいけれど、それしかなくてちょっと大味です。副菜も、みそ汁的に京町温泉くらい。

大将、カツ丼以外ないわけ?バカヤロー、これがうまいって言って昔っからみなさん来てくれるんでい!昭和のメニューのままで営業中―それはえびの市のよさでもあるのですが。田の神さぁが象徴する長閑さ、気風ののびやかさ。

市の規模をもちながら、こんな空気を感じられる場所は県内にありません。そんなえびの市の魅力を今回はご紹介。実はカツ丼以外の隠れメニューもあります。でも大将、昔よりみそ汁の具がだいぶ減ったね。


歴史ファンも鉄っちゃんも

えびの市は、「にしもろ定住自立圏」と銘打って、近隣の小林市・高原町とさまざまなかたちで連携を図っています。「なんでオレたちもてねーんだろうな〜」とか言って肩を組んでいたら、最近、垢抜けたことをやり始めた小林君がモテ出して、さびしそうに眺めている高原君とえびの君です(勝手な想像です)。

えびの市の目下の悲願は、当地ゆかりの名将、「鬼島津」こと島津義弘のNHK大河ドラマ化。島津氏17代当主で、えびのにも26年の間、居城しました。郷土の英雄の没後400年となる2019年に、ぜひ大河ドラマ化をと鹿児島の3市町とともに誘致に奔走しています。

銅像建立の計画や、年明けからは、市の歴史民俗資料館で義弘展を開くなど、地元での再評価の動きも活発です。紙幅の都合で説明は省きますが、まあ伝説的な武将なんだこれが。入場無料なので、ぜひ資料館に行ってみてください。

一方でJR 肥薩線も、やはり鹿児島の市町と世界遺産をめざしています。ただ、目標が「暫定リスト入り」というリアリストぶり。本気で世界遺産だなんて思っちゃいねぇよ、いいんだよ、うちカツ丼あるからよ。そんなカンジ?そしてさらに、えびの市は自然豊かな霧島ジオパークの一部でもあります。

歴史的人物に近代化遺産、自然環境と、えびのは未来に残すべき至宝の宝庫!えびの市どれも昔からあると言えばそれまでですが、えびのにあるのは全部、いまからはつくれないものばかりなんですよね。


愛される永遠の定番

そしてカツ丼のメインのえびの高原です。ここも昭和の新婚旅行ブーム以来の景勝地ですが、これがまた県内観光地の中でもひと味違う。宮崎随一の観光地、高千穂峡は9割弱が県外客です。

一方でえびの高原は、観光客数では県内4位ですが、3回以上来ているという人がなんと8割以上。これほど高いリピーター率は、県内では他に高千穂牧場くらいです。若者の流出など抱える問題も多々ありますが、やはり定食屋のカツ丼は強い。廃れない。昭和から変わらず定番を大事に磨いてきたところに、えびの市の強さがあります。

風物詩のアイススケート場も11月末から営業を開始して、冬もえびの高原は盛況です(4ページ参照)。なにせ、県内唯一のスケートリンクですしね。いまなら、羽生結弦選手気取りの人たちがごろごろ転んでいます。

年末年始という折も折、韓国岳か失岳高原で初日の出を拝み、白鳥神社に初詣参りして、冷えたからだを温泉で癒す…… どうですか。京町温泉の昭和的な風情なんて、いかにも正月に合いそうじゃないですか。そして仕上げに、これこそ宮崎の昭和の象徴!えびの出身の松形祐堯元知事の墓参りを…… 。


えびの市のココもスゴイ!

*島内地下式横穴墓群
国の重要文化財。全国で3例しかない、銀で装飾した「銀象嵌龍文大刀」や、全国の出土例の1/3を占めるという蛇行剣など、1500年前の貴重なタイムカプセル。

*狗瑠遜(くるそん) 神社
「天空の社」の呼び名にふさわしいロケーション。日本で2番目に古いと言われる禅寺跡や、高さ22mの巨岩「拘留孫岩」も見られるパワースポット。


えびの市DATA

●人口:19,673人(12/1 現在)
●面積:283km
●人口密度:69人
● 市の木:キリシマアカマツ
●市の花:エビネ


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