コラム 「宮崎市民の”鶏食い文化“を味わおう!」

宮崎を旅する人には、鶏料理をぜひ食べていただきたい。宮崎の風景が、少しちがう味わいを伴って見えてくるはずなのである。

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宮崎を旅する人には、鶏料理をぜひ食べていただきたい。宮崎の風景が、少しちがう味わいを伴って見えてくるはずなのである。

 本書では巻頭に、いまや誰もがその名を知る宮崎牛、次いで全国でも有数の出荷頭数を誇る豚肉についてお届けしてきた。鶏肉は控えめに三番目に配したわけだが、実は鶏肉料理こそ、宮崎市民の郷土料理のど真ん中なのである。


 昨年、宮崎市内の主婦に郷土料理についての調査を行ったが、上位を独占したのはことごとく鶏料理だった。戦前から各地の家庭で鶏が飼われていたわけで、鶏肉料理があるのは当然だと思うかもしれない。しかし宮崎人の鶏肉料理文化は、普通の地域のそれとは一線を画す偏愛ぶりがあると僕は感じる。


 例えば”地鶏“といえば誰もが思い出す、あの真っ黒に焼き上がった炭火焼き。独特の燻し香を感じつつ噛み応えのある肉に歯を立てると、ジューシーな汁がしみ出す。全国的に知名度の上がったチキン南蛮は、甘酢の酸味とタルタルの旨みがふんわりした鶏肉に絶妙なマッチング。


 そして圧巻なのは、本書に登場した郷土料理の数々だ。僕は「ずし」のあまりの旨さに感動してしまった。あれはただの雑炊、ではない!芋や餅などのご馳走具材を鶏のダシが包み込む大ご馳走である。
 注目したいのは、宮崎人は料理に合わせて鶏を選んでいるということ。煮染めやずしなどには、肉は硬いが旨みの濃い親鶏を。炭火焼きやたたきには、食感と旨みのバランスがいいみやざき地頭鶏。チキン南蛮には、旨みは薄いが柔らかな若鶏をというように、料理ごとに最適な使い分けを心得ているのである。

 宮崎を旅する人には、鶏料理をぜひ食べていただきたい。宮崎の風景が、少しちがう味わいを伴って見えてくるはずなのである。


山本謙治(やまもと けんじ)農産物流通コンサルタント&食生活ジャーナリスト

山本謙治(やまもと けんじ)農産物流通コンサルタント&食生活ジャーナリスト
農業・畜産分野での商品開発やマーケティングに携わる傍ら、日本全国の佳い食を伝える活動をしている。一年の2/3は出張で全国を周り、地域の郷土料理に出会い続けている。著書に『日本の食は安すぎる』(講談社プラスα新書)など。月刊誌や業界誌への執筆も多数で、ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」が人気を集める。


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miyazaki ebooks編集部

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