宮崎県全域の県民のみなさん方に、気軽に 美術に触れていただく美術館でありたい! | 宮崎県立美術館 館長 飛田洋さん

 洋画では岸田劉生、藤田嗣治、日本画では上村松園や横山大観など、近代日本絵画の巨匠たちの名作を展覧し、話題を呼んでいる宮崎県立美術館の特別展『ウッドワン美術館名品選 輝く美の巨匠たち』。

同展覧会の魅力はもちろん、多彩な企画を行っている同館の活動について、4月に館長に就任した、飛田洋さんにお話をうかがいました。

宮崎県立美術館 館長 飛田洋さん

[現在開催中の『ウッドワン美術館名品選輝く美の巨匠たち』が、とても好評だとうかがっていますが、館長ご自身は、その要因はどこにあると思われますか?]

 洋画では岸田劉生、藤田嗣治、日本画では上村松園や横山大観など、近代日本絵画の巨匠たちの名作を展覧し、話題を呼んでいる宮崎県立美術館の特別展『ウッドワン美術館名品選 輝く美の巨匠たち』。

同展覧会の魅力はもちろん、多彩な企画を行っている同館の活動について、4月に館長に就任した、飛田洋さんにお話をうかがいました。

宮崎県立美術館 館長 飛田洋さん

【Profile】
 1952年生まれ、新富町出身。鹿児島大学理学部卒業。山之口中学校、高原畜産高校(高原高校)、宮崎西高校、小林高校で理科(生物)の教師として勤務。以後、宮崎県教育庁学校教育課・政策課、宮崎大宮高校の校長、教育次長などを経て、2012 年宮崎県教育委員会教育長に就任。

今年、4月より現職。「美術・音楽・映画鑑賞、観劇、読書、山登り… …」と趣味は多彩。「信条ではないんですが、常々、ラグビーの試合みたいな人生を送りたいと考えています。横を見回し、仲間とパスを交換しながら、みんなで果敢にトライに挑戦する。チームワークとチャレンジ精神を忘れない。そんな仕事のやり方、人生が理想ですね」と話す。

好きな言葉は『咲いた花見て喜ぶならば 咲かせた根っこの恩を知れ』。

■ 宮崎県立美術館
宮崎市船塚3丁目210番地 TEL.0985-20-3792
http://www.miyazaki-archive.jp/bijutsu/


現在開催中の『ウッドワン美術館名品選輝く美の巨匠たち』が、とても好評だとうかがっていますが、館長ご自身は、その要因はどこにあると思われますか?

 本展では、近代の日本絵画史に大きな足跡を残した巨匠たちの作品の中から、洋画と日本画を合わせ、80点を厳選して展覧しています。

専門の学芸員がお話をするとすれば、「本展は近代日本絵画の流れを、卓越した作品群を通して俯瞰できる展覧会」ということになるのではないかと思いますが、私自身の言葉で( 笑)、率直にその魅力を表現するのであれば、日本絵画が持つ芸術の「粋」に触れることができ、改めて日本のすばらしさ、また日本人に生まれてきて良かったと、素直に思わせてくれる美術展が、本展ではないでしょうか。

 目玉のひとつである、岸田劉生が娘の麗子を描いた著名なシリーズの1点『毛糸肩掛せる麗子肖像』や、舞の準備をする女性たちを華やかに描いた上村松園の代表作『舞仕度』(ともに、次ページ上を参照)は、理屈を抜きに観る者の琴線に触れるものがありますし、本当に圧倒されます。

また、特別出品として、ゴッホの初期の作品『農婦』も展示していますので、まだご覧になっていない方は、ぜひお越しいただけると幸いです。


今回のような「特別展」以外にも、常設展や講座など、貴館はさまざまな企画や展覧会を行われていますよね?

 宮崎県立美術館の企画や機能を大別すると、5つに分類できます。

ひとつが、今回の『ウッドワン美術館名品選 輝く美の巨匠たち』のように、宮崎ではなかなか観る機会のないものを、当館がプロデュースし県民の方々に楽しんでいただくのが「特別展」です。

秋から冬にかけては、『篠山紀信展 写真力』(10月29日〜12月11日)を開催予定で、トークショーやサイン会も企画中です。

有名無名を問わず、時代を創造、あるいは時代を象徴する人を対象とし、彼らの最高の瞬間や表情を切り取った篠山さんの“写真力”は、まさに圧巻で、ある意味、崇高ですらある、と私は思います。

 現在、当館では約4000強の美術品を収蔵していますが、それらをきちんと保管し、次代へと継承することも美術館の大切な役目のひとつです。
同時に、保管に十分配慮しながらも、年間を通して、県民のみなさんに最高の美術品に触れていただく機会を提供したい、という意図のもとに行っているのが、ふたつ目となる「コレクション展」です。

私はこれを「いつでも、我が国や世界の名品に会える企画」と言っているのですが(笑)、4つの部屋でテーマを設け、年4回作品を入れ替えて展示いたしております。

 3つ目は、子ども美術教室、実技講座、ワークショップを行う「講座」。

4つ目は、将来性豊かな県内で活躍する若手アーティストに作品発表の場を提供する「チャレンジギャラリー」。

それから、5番目は県民のみなさま方の作品を展示、紹介する「県民ギャラリー」となります。


館内での企画は無論、地域に出向いての展覧会や講座、ワークショップも、貴館は積極的に行われているそうですね?

 そのひとつが、「わがまち」いきいきアートプロジェクトで、今年度は美術家の又木啓子さんと造形作家の松下太紀さんに、実際に高原町に滞在していただき、なるべく地元の物を利用し、地元の方々と一緒になって、アートな空間や作品をつくってい ただく、という企画を実施しています(9月30日まで)。

 また、実際に当館の作品を持って行って、ご覧いただく、旅する美術館(タビビ)という企画や、移動ハイビジョン車で県内各地の学校を訪問し、デジタル映像で当館のコレクションや国内外の作品及び、いくつかの本物の作品を鑑賞していただく活動も行っています。

 なぜ、このような活動に取り組んでいるかと言えば、やはり、私どもは“宮崎県立”の美術館ですから、場所は県央にあれど、 県民のみなさんの美術館でありたい、という強い想いからきています。

 読者のみなさんの中には、美術は敷居が高いと思われている方もいらっしやるかもしれません。まずは、理屈抜きに観て感じていたければと思います。その上で、なにかしらのいい刺激を受けたり、あるいは心が呪縛から解放され、フッと軽くなったり ……。困難な時代であればあるほど、心の基礎体力をつけてくれるのが、美術の持つ魅力、本質のひとつだと私は考えています。

 宮崎県立美術館は、一流の作品を「観る」ことができるだけではなく、講座やワークショップを通じて「学び」、また作品づくりに「参加する」こともできる美術館です。一部の「特別展」をのぞき、無料で観覧できますので、ぜひお気軽に足をお運びいただけると幸いです。


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