河童から、地方創生を考える!

河童とは何か

[河童の生態・特徴]

河童とは何か

相撲やキュウリが好き」など、多少の差異はあるものの全国各地に河童伝承は同じような形で伝わる。
「河童」とは一体何なのか。
そして河童伝承をはじめとする昔話は現代人に何を伝えているのか。
宮崎県における民話研究の第一人者に話を伺った。

南九州大学・人間発達学部・子ども教育学科教授
矢口裕康氏
やぐち・ひろやす 成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻修士課程修了。専門は民話学・児童文学・保育内容(言葉)。著書に『民話と保育―「個育て」のために―』(清文堂出版)、みやざき文庫『語り手の誕生と創造―<観・聴・感>の再生へ―』(鉱脈社)、『語り継がれる宮崎―民話伝承に見る宮崎県民性―』(鉱脈社)など。64歳。神奈川県出身。宮崎市在住。


河童の生態・特徴

想像上の生物とされる河童ですが、全国各地の伝承を見ても驚くほど同じイメージで語られています。 川や沼に住み、背丈は人間の3歳~6歳児程度。 おかっぱ頭で背中に甲羅、手には水かきがあり、体の色は緑または赤。そして泳ぎが得意です。好物は、魚、キュウリや人間の「生き肝」など。 嫌いなものは金気の物やサルなどが挙げられます。 呼び名は「カッパ」以外に、 「ガグレ」 「ガラッパ」 「ヒョウスンボ」 「カワタロウ」など、さまざまです。
そのほか、相撲をとることや風呂に入るのも好きです。 また川などの中に潜み、人や馬を水の中に引きずり込むといわれます。


河童伝承の分類

河童伝承は、青森県から鹿児島県まで、全国各地でさまざまな話が語り伝えられています。 しかし、多少の違いはあるものの、内容が似通っている話が多くあります。 大まかに分類すると、 「恩返し(報恩) 」 「たたり・障り」 「河童駒引(河童が馬を水の中に引きずり込む) 」 「その他」の四つに分けられるのではないでしょうか。 三股町に伝わる話も、いずれかに該当していますよね。


共通心意

では、なぜ全国に同じような話が伝わっているのでしょうか。 電灯などなかった昔の人は、現代人よりも「ものの気配」に敏感でした。 闇の中などで、何か物音がしたときに、 「どうして?」と思う感覚が、全国各地で想像上の生物―河童、天狗、鬼などの誕生につながっていったのではないでしょうか。 このように、ものの気配や物音などから全国各地の人が、同じようなイメージ(河童など)を思い描き、現代まで語り伝えてきたことを、私は「共通心意」と呼んで整理しています。 そして、宗教者、芸人、物売りなどの各地を歩く人たちの関わりもあって、全国で同じような河童像が出来上がっていったのでしょう。


河童は社会を見守る神様だったのかもしれない

ところで、昔から民衆の間では、春の彼岸に「山の神」が山から下りて「田の神」 「水の神」となり、秋の彼岸にはまた山へ戻るとされていました。そして、 「山の神」は別名「山童(ヤマンヒト・ヤマワロ) 」 、 「田の神」 「水の神」は別名「河童(カワンヒト・カワワロ・カッパ) 」 といいます。すなわち、一つの「河童」という存在が、季節ごとに名前を変えながら、常に民衆の生活を、そして社会全体を見守ってきたと考えられていました。


「河童の声を聴いた」と言う人が多い理由

さて、文明が発達した現代においても、 「河童の声を聴いたことがある」という人は、決して少なくありません。 特に高齢者に多いようですが...。 実は、私の妻の母親=新富町在住=も、昔、河童の鳴き声を聴いたことがあると言います。先に述べた通り、昔の人は、河童を「神的存在」として扱ってきました。 そのため、姿は見えなくても、耳慣れない声を聴いたときに、 「ああ、やっぱり河童はいるんだな」と思ったためではないでしょうか。 本当に河童の声だった可能性も否定しませんが...。


民話の復権

昔はどこの家庭にも囲炉裏があり、それを囲んで、祖父母から孫へ昔話が語り継がれてきました。
世代から世代へと何百年も伝えられた昔話には、先人の「後世に伝えたい熱い思い」が込められています。そして、それは道徳心などの養成につながっていました。
現在、子育てや学校教育が難しくなっている要因の一つは、そういった昔話が語られなくなったことにもあるのではないでしょうか。
そこで私は「民話の復権」として、「生の声による昔話の語り聴かせ」を推奨しています。 語り手は祖父母じゃなくても、親や先生でいいんです。 生の声で、語り聴かせをすることによって、今までと違った教育効果が生まれるのではないでしょうか。


地域の河童伝承を糸口に

三股町には多くの河童伝承があります。 今回、初めて知ったという方もこれをきっかけに昔話に興味を持っていただけたら幸いです。
そして、身近な高齢者に昔話を尋ねてみてはいかがでしょうか。 昔みたいに囲炉裏を囲んで「語り」をする空間がなくなった現代では、高齢者に直接尋ねないといけません。 手間が掛かりますが、そうすることで、世代間の交流が活発になります。 さらに次の世代へと昔話を引き継いでいくことにもつながります。
なお特に「河童」について興味を持ったという方に、お薦めの本を3冊紹介します。
1冊目は、宮崎県の民話採集に尽力された比ひ江島重孝氏の児童文学作品『かっぱ小僧』です。 2冊目は、絵本作家・ヒサクニヒコの『カッパの生活図鑑(ヒサクニヒコの不思議図鑑) 』です。 そして最後に芥川龍之介の小説『河童』です。いずれも深い洞察を基に執筆されていますよ。
そして、今後、個人的には、 「河童伝承の分布地域と降水率」について調べてみようと考えています。 先ほど話しました通り、河童には「水の神」という側面があります。 この二つの間に何か面白い関連性が出てくるかもしれませんね。


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miyazaki ebooks編集部

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