~世界初の開催「国際照葉樹林サミットin 綾」~

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 昨年、口蹄疫の発生状況下で延期になった「国際照葉樹林サミットin綾」が、5月21、22日開催されました。町民あげてのご協力のおかげで530名を超える参加者があり、「 照葉樹林都市綾」 の存在と取り組みが世界に発信できました。地球儀上では、針先の面積位しかない綾町の動きが、国連生物多様性条約(CBD)会議事務局の5月21日付ホームページで21、22日のプログラム等が紹介されました。また、ユネスコのホームページでは22日の大会宣言も全文が紹介されました。
 何故、即日に国連のホームページで紹介される位注目されているのでしょうか。

 地球全体で見た時、人間の生きるのに必要な資源のすべてを提供してきた原生的な多様な自然、その環境に依存して進化・発展してきた多様な生物は、大げさに言えば、殆どが絶滅の危機に瀕しているだけでなく、地球環境そのものに様々な異変が現れてきたからです。原因は、人間中心主義の豊かさの追求にあります。
 その中で綾町は、1966年から現在に至るまで「自然との共存」を目指し、特に里地・里山を中心に様々な取り組みを実践してきました。この取り組みは、国連が「人類が直面している環境の危機対策」として、具体的に動き始めた1970年代当初よりも早いものです。世界の有識者が綾の取り組みに関心を示す理由が分かると思います。
 2005年には綾町面積の44%を占める国有林を管理する九州森林管理局をはじめとして、県、町日本自然保護協会、てるはの森の会(NPO)の5者間で協定書を結び、通称「 綾の照葉樹林プロジェクト」 が、奥山を中心にスタートしました。このことで、綾町全域が「自然と調和した照葉樹林都市綾」の町づくりの基盤が出来上がりました。
 しかし、基盤はできたとしても、「綾町憲章」に定めたまちづくりの具現化はまだ一部でしかありません。今までの綾町の取り組みの検証とともに、これからの具現化のヒントや手法を検討する必要があります。その取り組みの一環として、照葉樹林帯を有する海外のブータン、中国雲南省、韓国南部の木浦の他、日本の各地から研究者及び地域づくりの実践家に集まってもらい、報告や討論、現場検証等を内容とするサミットが企画されました。

 初めてのサミットにも拘らず、国連やマスコミ等の動きでお分かりのように、十分手ごたえがあり、各方面からも高い評価を頂いています。  綾町は今、ユネスコの人と環境の調和を目指したMAB計画事業「優れた自然の保護・保全と資源の持続的利用」の推進指定地【生物圏保存地域(BR)( 通称ユネスコエコパーク) 】に向けても取り組み中です。サミットでの評価を受け、ユネスコエコパーク登録を実現し、「 綾憲章」 の目指す地域づくりを一歩ずつ前に前進させ、「 綾モデル」 としてシステム化できればと思っています。

綾町役場照葉樹林文化推進専門監
河野耕三


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