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今回は、演劇で培った経験や技術を生かして、
コミュニケーションの場づくりを行っている黒木朋子さんです。

演劇で培った経験を子どもたちに

[演劇に重なるワークショップデザイン]

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演劇で培った経験を子どもたちに

今年5月、宮崎市民プラザで演劇講座を受講した5人の小学生が、劇団「キッズインザルーム」を旗揚げしました。劇団では子どもたちが集まると、誰かの動きをまねしたり、銅像になってみたりなど、まるで遊んでいるような稽古が行われています。

「稽古では、演劇の基本である『見る』『聞く』『伝える』といった能力を、遊びを通して培っています。私が何かを提供するのではなく、子どもたちが自ら感じ、学び取る。そんな体験学習としてのスタンスを大切にしているんですよ」と、指導者の黒木さんは話します。

黒木さんが子どもたちとの関わりを大事にしている背景には、カメラマンとして仕事をしていた時の経験があるそうです。「小学校の卒業アルバムを担当していたのですが、友達同士で仲良くしているように見えて実はすごく気を使っていたり、コミュニケーションが上手にとれていない様子を子どもたちから感じたんです。

これでは人と人の関係づくりが大変。演劇で培った経験を生かせないかと思うようになったんですよ」


演劇に重なるワークショップデザイン

黒木さんは演出家として仕事をしながら、ワークショップデザイナーという資格を取得しました。これは人と人のコミュニケーションの場をつくる専門資格のことで、黒木さんはその要素が、演劇で培った経験と重なることに気付いたそうです。

「実は私自身がコミュニケーションをとるのが苦手で、どうにか上手になりたいと悩んでいました。そんな時に出会ったこの資格は、演劇の考え方や練習方法と通じるところがたくさんあったんです。これを活用すれば、演劇の経験をワークショップという形式で伝えていけるのでは、と思ったんですよ」


誰もが役者で演出家

多くの劇団を指導しながら、演出家として活躍し続けている黒木さん。実は私たちの誰もが、毎日の生活で芝居をしていることを教えてくれます。「遅くに帰宅して奥様に顔を合わせる時のご主人、家で一人くつろぐ高校生…誰もがいろんなシーンで芝居をしていて、その全てで自分を形作っています。

演劇はそれを技術的にやっているだけ。演劇というと遠い存在に感じる人もいるかもしれませんが、皆さん一人一人が人生という物語の役者であり、演出家だといえますね」。

ワークショップを通じたコミュニケーションの機会を、今後は大人にもつくっていきたいという黒木さん。新しい舞台が幕を開けようとしています。


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「見る」「聞く」「伝える」という演劇の基本的な技術は人と人の関係づくりにも役立ちます。|(黒木 朋子)-キラリ宮崎人vol.30 写真

miyazaki ebooks編集部

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