綾町にあるペンション「きねずみ」のオーナー、木村晃彦さん・光子さん。
自然に囲まれた暮らしに憧れ、東京から移住した二人に、
綾のまちはどのように映っているのだろう。

「綾だったから今がある」

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「綾だったから今がある」

 東京、千葉でデザインの仕事をしていた晃彦さんと 同じく幼稚園教諭だった光子さん。子育てをするにあたって、とにかくたくさんの絵本を読み聞かせたのだという。いつしか二人は、その絵本の中に出てくる自然に憧れを抱くようになる。

 「 大草原の小さな家』が大好きだったんです。自然に囲まれての生活がとても楽しそうで。

そして『となりのトトロ』を見たのが決定的でした。田舎の家に引っ越した一家が、手づくりのトマトなどを食べているのを見て、これはもう、私たちも引っ越すしかないと思って」と光子さんは笑って話す。
 長男が高校を卒業したのを機に、引っ越し先選びが始まる。
二人とも寒いのが苦手ということと、光子さんが宮崎県の都城身市出ということで、宮崎県内をあちこちと見て回った。
 「最初、主人は宮崎を嫌がったんですよ。どこの山もスギだらけだと言って。でも綾町に来て気が変わったんですね。ここは違うと。とても落ち着いた雰囲気のまちだし、すぐそばに深い森があるのも魅力的でした」 。

 『きねずみ』の母屋のログハウスは晃彦さんが3年がかりで建てた。「この場所はもともと畑だったんです。普通なら道路側に建てるところなんでしょうが、一番奥まったところにしたのは、森のすぐそばで暮らしたかったから」。5月の中ごろになるとヒメボタルが森の斜面一帯を幻想的に照らす光景をログハウスから見ることができるのだそうだ。「ヒメボタルというのは山奥に生息していて、人家のそばで見られるのはたいへん珍しいことだそうです。逆に言うと、それだけの自然の中に私たちが暮らしているということなんですよ」と光子さん。

   ペンション横の森をしょっちゅう散歩するという晃彦さんは、近所の人が落ちている枝を集めているのを見かけることがある。「聞くと、その枝でおふろを焚いたりしているのだそうです。それと、一昨年のこと隣家との境のスギがものすごく伸びていて、切ってもらうことになったんです。私たちはただ切ればいいやという感覚しかないところが隣の奥さんは塩とお酒を持ってきてお祓いをするんですよ。特に林業にかかわっている方ではないのに、自然への敬意の念を持っている。綾町の人にはそういう気持ちが備わっているんだと思うんです。だからこそ、自然と人とが共生できるんだと」。

 「おかげさまで、多くの方にきねずみを訪れていただけるようになりました。でも、私たちの力だけでは、こうはならなかったと思うんです。たくさんの自然の中で、その自然に感謝しながら暮らす人々。そんな綾町の魅力があるからこそ、今の私たちがあるんだと思います」と話す二人。自然とともに生きる『綾人』として、たくさんの人に、温もりを与え続ける。



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