川南の子供たちが未来に向かって、ここで生きる希望をもつためには?川南の「地域づくり」について考えてみましょう。

川南の子供たちが未来に向かって、ここで生きる希望を持つためには

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川南の子供たちが未来に向かって、ここで生きる希望を持つためには

 さて今回は、「川南づくり」の話をいたしましょう。「川南の子供たちが未来に向かって、ここで生きる希望を持つためには?」という設問をした時、どんな答えが考えられるでしょうか。

 全国各地の地域づくりで気が付いたことは、「お金もうけ」だけでは上手くいかないということです。例えば、公共事業を導入して地域経済を活性化する。観光ビジネスで人を呼び込み、お金を落としても売らう。残念ながら、その結果は道路が整備され、多くの箱モノが出来たけど、集落はさびれていく。あるいは、たくさんの人が観光でやって来てくれるけど、地元の商店街はさびれていく。この手の事例には、枚挙にいとまがありません。

 地元を元気にする。そして子供たちがここで生きて行きたいと思えるポイントは、「地域の暮らしに、いろいろな価値あるものを上乗せすること」ではないでしょうか。ここは、教育機能が充実している、その価値が高まれば若いお母さんたちがやってくるかもしれません。高齢者の方が、最期まで働く環境があればどうでしょう。そんなさまざまな暮らしにとってありがたい価値を創造できれば、その町の人気は高まるでしょう。

 先日大学院で講義を持った時、学生たちに聞いてみました。どんなまちやむらだったら住みたくなるかた。その答えは次のようなものでした。「親戚の様に頼れる人たちが周りにいる」、「自分と同じような年齢の仲間たちがたくさんいる」、「自分が興味のある文化的な事柄が手軽にでき、その情報も容易く入る」、「自分が好きなスキーのような趣味が満喫できる」、「良い風景や癒される場があり、良い教育環境がある」などでした。いかがでしょうか、これまで大事だと思ってやってきたハード整備などとは無縁のソフト要素が大事だと言う事がわかるでしょう。

 一つ、具体的な事例をお話したいと思います。三重県多気町という田舎町での取り組みです。そこは、東大寺の大仏建立に使った水銀を採掘する地域として、古くから開けた中山間地域にあるまちです。
 「まやめ」という、地域の農家の主婦たちが運営する農村食堂が大流行りです。この施設の運営責任者の北川さんという主婦は、「この施設は地域活性化のための拠点施設だ」とおっしゃいます。雇用や経済的にも、地域に大きく貢献されているのですが、それだけではない役割をここは担っていると言います。

 例えば、春になると小学生の低学年の子供に「つくし」を採って来てもらいます。いくらかの値段をつけて買い上げているのですが、重要なことは「ハカマ」をとってから持ってくるように子供達に言っているとのことです。そうすると、小遣い欲しさにつくしを沢山採った子供達は家の縁側などでハカマを取り除きます。それを見ているおじいちゃんやおばあちゃんは、必ずと言って良いほど孫の手伝いをするそうです。「孫の役に立った」とにこにこする高齢者の姿が想像できます。

 また、子供たちにとっては、昔の話を聞く良い機会となります。これは、福祉や教育の効果が上がり、この地域にとって価値の上乗せが、この施設の仕掛けによっておこなわれているということです。

 北川さんは、このことこそ、この施設の狙いだとおっしゃっています。決して、「お金もうけ」だけではないという言い訳です。

 もう一度みなさんにお伺いしたいと思います。「地域づくり」ってなんでしょう。私の答えは、「地域での暮らしを良くすること」です。どこに住んでいても、誰だって少しでも良い暮らしをしたいと思っていることでしょう。

 いま大切なのは、個人の暮らしをより良くし、それが持続可能になることでしょう。しかし重要なのは、それに加えて地域での暮らしが持続可能になるように、仲間と共に考え一緒に実行することではないでしょうか。そしてその上に、できれば地球環境として持続可能な暮らしになれば最高ですね。そんな川南のまちづくり、次回はもう少し具体的な可能性をお話ししたいと思います。


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