県内各地の自然保護活動を紹介

多様な自然を育む山・黒岳

[深刻な鹿の食害]

多様な自然を育む山・黒岳

 九州山地の中央に位置する諸塚村は、1000メートル級の山々に囲まれています。なかでも標高1455メートル黒岳は村の最高峰で、遠く大分の由布岳まで見渡せる眺望が魅力です。

 登山口から1時間程度で山頂までたどり着ける上、なだらかで歩きやすいので初心者でも気軽に登ることができます。

 この黒岳、宮崎県のレッドリストに掲載されている植物が26種も生育する希少植物の宝庫でもあります。

 九州や四国、紀伊半島など日本でも限られた地域にしか生育していないキレンゲショウマが日本最大といわれる規模で群生するなど、その自然の多様さから、平成22年3月に宮崎県野生動植物保護条例に基づく「重要生息地」に指定されました。


深刻な鹿の食害

 キレンゲショウマは落葉樹林内の湿った場所を好み、高さが80〜120センチほどの多年草で、7月から8月にかけて淡い黄色の花を咲かせます。

 このキレンゲショウマの群生地が、鹿の食害などによって絶滅の危機に瀕しているというのです。昨年だけで50頭もの鹿を捕獲するなど、黒岳に生息する鹿の数は増える一方なのだそうです。そのせいもあって、山にはアケビやタケニグサなど鹿が食べることのない植物が目につきます。

 「とにかく鹿による害がすごいので、群生地のまわりに鹿防護ネットを設置しています」と話すのは小原井公民館の藤本一盛さん。


地域みんなで黒岳の自然を守る

 黒岳の麓に位置する小原井公民館44世帯では、絶滅の恐れがあるキレンゲショウマを保護しようと、地域住民が一体となって黒岳の管理などの活動を行っています。

 同公民館の甲斐勝男さんは、「中心となって保護活動を行っているのは4〜5名なのですが、人手が必要なときには公民館のみんなが力を合わせてキレンゲショウマを守っています。小原井地区だけでなく、村の宝ですからね」と話します。


キレンゲショウマを通じて自然の大切さを伝える

 黒岳のキレンゲショウマ群生地には、通常一般の人が立ち入ることができません。毎年、見頃を迎える8月中旬に地元ガイドによるエコツアー「黒岳登山とキレンゲショウマ観察会」が開催され、このツアーに参加した人だけが、可憐に咲くキレンゲショウマの群生を目にすることができるのです。

 この観察会を主催する諸塚村観光協会の堀川尚子さんによると、福岡や鹿児島など県外から訪れる人も多いとのこと。

 「キレンゲショウマを含めた黒岳は、村だけでなく、宮崎そして日本にとっても貴重な財産です。

 ツアーでは、キレンゲショウマを通じて、自然の大切さを感じてもらえたらと思います」と堀川さん。

 村の宝であるキレンゲショウマの群生地を後世に伝えていくための地域の取り組みは、自然を保護するだけではなく、地域のつながり、そして活性化にも欠かせない活動となっています。


第18期自然保護推進員の募集について

 宮崎県では、「宮崎県における自然環境の保護と創出に関する条例」に基づき、第18期自然保護推進員を募集しています。

【自然保護推進員とは】自然を守り育てるボランティア及びリーダーとして活動を行う人をいいます。

1 推進員に期待すること
(1) 自然に対するプリザーバー(保護を推進する人)として、自然のよき理解者となる。
(2) 自然に関するカウンセラー(相談を受ける人)として、自然保護に関して地元地域の人からの相談に応ずる。
(3) 自然についてのアドバイザー(助言をする人)として、かくれているすぐれた自然の発見、紹介、自然の保護・創出等の助言をする。

2 推進員になるには
(1) 宮崎県内に住む、15 歳以上の方
(2) 自然保護について理解と熱意のある方(ボランティアのため報酬はありません。特に資格は必要ありません。)

3 推進員の任期
 推進員登録の日から平成29年5月31日まで

4 推進員になられたら
 まず、身近な自然に目を向けるなど自然への関心を高めるとともに、自分のできることから、自然保護に関する活動に取り組んでいただきたいと思います。

【県からの支援】
 県では、推進員の皆さんの活動を支援するため、自然保護推進員大会の開催や環境に関する情報誌の配布などの情報提供を行います。
 また、活動に取り組みやすいように自然保護推進員手帳、腕章、バッジをお渡しします。


【お問い合わせ】
環境森林部自然環境課 自然環境保全担当
〒880-8501
宮崎市橘通東2丁目10番1号
TEL:0985-44-2624
FAX:0985-38-8489
E-mail:shizen@pref.miyazaki.lg.jp

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