「個性を生かしてやりたいことをやり抜いて」

母校・西米良中学校に図書を寄贈して39年

[故郷・西米良の良さを子どもたちに継いでほしい]

母校・西米良中学校に図書を寄贈して39年

 弁護士として長く宮崎で活躍してこられた吉良さんが、もう一つ長く続けているものがあります。それが、母校・西米良中への図書の寄贈です。1975年から現在に至るまで寄贈された図書は「吉良文庫」と呼ばれて、生徒たちの大切な財産になっています。

 「中武雅周先生が校長に就任された年に寄贈したのが始まりですね。私は小さい頃から本が好きだったんですが、戦前は本が少なく、読みたくても満足に読めませんでした。一方、今の子どもたちはテレビを見ることの方が多い。本は想像力を育てるし、後々とても役に立つので、母校の生徒にはできるだけ読んでほしいと思って、寄贈を始めたんですよ」と笑顔で語る吉良さん。本の少なかった幼少期は、祖父が持っていた文庫本を読み漁ったそうです。

 「猿飛佐助に霧隠才蔵…冒険活劇が多かったですね。父親の仕事の都合で宮崎東中に転校した際は、江平小学校の裏にあった貸本屋でいつも下校中に本を借り、夜通し読んで翌日返すという毎日でした」(吉良さん)

 化学も数学も英語も苦手だったという吉良さんが弁護士になれたのは、ご本人曰く「理屈好きだったから」とのこと。「弁護士なら何とかなるじゃろ、と根拠のない自信に満ち溢れていましたよ。でも、西米良の山で育った経験が、弁護士の仕事に活きることは多々ありました。森林の様子を表す林相(りんそう)とかね。都会育ちにはわかりませんよ」


故郷・西米良の良さを子どもたちに継いでほしい

 村外での暮らしが長い吉良さんですが、西米良には今も定期的に通っているそうです。

「同級生が今も西米良にいるので、定期的に同窓会をして昔話に花を咲かせています。誰がけんかが強かったとか、たわいもない話でね」と笑う吉良さん。子どもたちには西米良の変わらない良さを受け継いでほしいといいます。

 「西米良の人は昔も今も良い意味で個性的。個性を生かし、やりたいことはあきらめずにやる、という思いを持ち続けてほしいです」


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