老いの準備をする上では、これからどのような状況と
向き合っていくのかを知ることが大切です。
ここでは地域包括支援センターなどの窓口で対応したさまざまな事例を紹介します。

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事例1
うつ病だと思って病院を受診し、薬を服用していたが、なかなか薬が効かない。
別の病院で見てもらったら、うつ病でなく認知症だと分かった。

解説
うつ病は仮性認知症といって、症状が認知症と似ています。
薬が効かないなど症状に変化が見られない場合は認知症専門医の診断を受けましょう。


事例2
一人暮らしの高齢者宅に怪しい業者が出入りしているのを地域の人が発見。
詐欺被害の判明と合わせて、高齢者本人の認知症も判明した。

解説
地域の人の「おかしいな」という気付きが、
犯罪や認知症の発見につながる例は少なくありません。
高齢者の見守りには地域の目が欠かせません。


事例3
90歳の女性は、認知症の症状があり、病院を受診する必要があるにもかかわらず
受診している様子がない。
スタッフが訪問すると、室内にゴミが散乱するなど生活が破綻していた。

解説
介護サービスの利用や病院の受診は、
本人の意志を尊重した生活をしてもらうためのものです。
自宅から切り離す手段ではないことを理解してほしいです。


事例4
身の回りのことがうまくできなくなった母に娘が病院での受診を勧めるも、
かたくなに拒否。
かかりつけの医師から専門医の受診を勧めてもらったことで本人も納得した。

解説
認知症の初期は思うようにできないことを自覚し、漠然と不安を感じています。
それを理解した上で、信頼している人と協力して接することが大切です。


事例5
もの忘れが多くなってきた父親を、家族は「歳をとったせいだろう」と思い込み、
認知症かどうかは気に留めなかった。
その結果、認知症の症状が進んでしまった。

解説
もの忘れは、認知症やその他の病気が潜んでいる可能性を示すサインです。
歳のせいだと安易に判断せず、かかりつけの医師や専門医の診断を
受けることが大事です。


事例6
足が不自由な父親が自宅から出ようとせず、
子どもも対応に困っているうちに運動機能の低下が進み、
認知症も重なってますます介護が必要な状態になってしまった。

解説
介護サービスへの不安から、利用を拒む人は少なくありません。
地域包括支援センターと協力しながら理解を深めていくことが重要です。


こんなに大切だった「早期発見」!

いつまでも住み慣れた地域で安心して生活するためには、老いによって生じる兆候をいち早く発見し、対応することが大切です。
全国で活動する認知症初期集中支援チームのデータから、早期発見の重要性を紹介します。

認知症初期支援チーム
在宅で生活している40歳以上の人で、認知症が疑われる人や認知症で医療や介護サービスを受けていない人を対象に、地域包括支援センターからの情報を受けて訪問。
なるべく早期に介入し、医療や介護に結びつけることで認知症の進行を防ぐ活動を行っています。
最長6か月間、本人や家族をサポートします。


対象の約半数が困難事例

チームに情報が入った段階で、対象者の約半数が既に重症化。
もっと早く相談があれば、対応の幅も広がった可能性があります。


相談者は本人の家族が多数

民生委員やケアマネジャーからの相談もありますが、最も多いのは本人の家族です。
早期発見には家族の協力が不可欠です。


8割がサービスの利用なし

対象者の8割は、チームの介入まで介護サービスの利用もなく、
適切な対応が取られていなかったことがうかがえます。


注目!

市広報みやざき 2017年3月号

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