これからの消防団に不可欠な2つの力

近年、消防団員が減少する中で女性消防団員の数が年々増加しています。また、団員の平均年齢の上昇が進んでいることから、大学生など若い力の消防団活動への参加が強く期待されており、各地で学生を消防団員として採用しようという動きが広がっています。ここでは、女性と学生それぞれを代表して、えびの市消防団防災バイク隊『レッドホーク』女性隊員の福満康代さんと中村しのぶさん、『宮崎大学学生消防隊』の隊員であり、地元消防団の団員でもある本田拓哉さんと屋嘉部拓人さんに話を聞きました。

団員としての活動が人生の糧になる

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団員としての活動が人生の糧になる

−話を聞いたのは

宮崎市消防団 木花分団第7部
本田 拓哉さん(宮崎大学3年)
屋嘉部 拓人さん(同2年)


−お二人が所属している「宮崎大学学生消防隊」について教えてください。


本田 宮崎大学学生消防隊は、「地域の防災を担いたい!」という有志が集まって2016年に発足したサークルで、現在は男子10名、女子9名の計19名が所属しています。


−どんな活動をしているのですか?


本田 大きく2つあって、まず1つが夜警です。地元消防団の団員さんと一緒に地域の見守りを行っています。もう1つは、屋内消火栓操法大会への参加です。年に1度の大きな目標で、過去には優勝した実績もあるんですよ。


−ところで、お二人は消防団員でもあるそうですね。


本田 そうなんです。僕たちだけではなく、学生消防隊のうち8名が消防団員としても活動しています。


−そんなに!? 宮崎でも学生団員が活躍しているんですね。しかしなぜ、消防団に?


本田 学生消防隊の先輩から、「普段では体験できない経験ができるし、絶対に今後の人生の糧になるよ」と言われたのがきっかけです。

屋嘉部 私の場合は高校生の頃から消防に対して「かっこいいなぁ」という思いがあって学生消防隊に入りました。消防団へはその流れでといった感じで、正直なところあまり深く考えていませんでした(笑)


−サークルである消防隊と違って消防団の活動は大変なのでは?


屋嘉部 消防団員になるまでは漠然と「きつそう」というイメージを持っていたのですが、実際はそれほど活動が多いわけでもなく、楽しく活動できています。

本田 私の場合は学生消防隊長という立場もあって、地元消防団の部長会議に参加しているのですが、まわりがみんな大先輩なので最初は怖かったです(笑) でも、みなさん本当に優しくしてくれるので、今では思ったことを発言できています。


−団員として活動することで、ご自身の中で変化はありましたか?


本田 消防団には、「地域のために何かをしたい」という人が多く、そんな人たちと一緒に活動するうちに、「地域に貢献したい」という思いが一層強くなりました。
屋嘉部 消防車で地域を回っていると地域の防災に貢献できていることを実感でき、それが普段の自信にもつながっています。

本田 学生消防隊として活動するだけでもいろいろと社会経験を積むことができるのですが、消防団員となってさらに地域と関わることで、より多くの学びや気づきを得ることができています。以前、先輩から言われた、「人生の糧になる」という言葉を実感しているところです。若い人たちにはぜひ同じ経験をしてもらいたいと思っています。


女性だからこそ力になれることがある

えびの市消防団本部付部
(女性消防団)
福満 康代さん
中村 しのぶさん


−まずはバイク隊について教えてください。


福満 災害が発生したときに市内各地の被害状況や安全確認などの情報を収集し、伝達するために結成されました。倒木や水害などで、車では行けないような場所でも、バイクならではの機動力を生かして活動できるのが強みです。

中村 現在、隊員は消防団員の中でバイクの免許を持っている11名が所属しています。


−なぜ、バイク隊員に入ろうと思われたのですか?


福満 女性だからこそ力になれることがあると思ったからです。救助対象者が女性の場合、相手が女性じゃないと言いにくいこと、伝わらないことがあると思うんです。そんな場面でお役に立てればと思って。好きなバイクの免許を生かすことができますしね。

中村 女性消防団をPRするためでもあります。私たちはバイク隊員である前に女性消防団員でもあるのですが、団員の数が少なくて。そもそも、その存在を知っている人も少ないと感じているんです。だから、女性バイク隊員として少しでも注目を集めることで、女性消防団のことを知ってもらって、女性団員が増えてくれればうれしいです。


−これまでにどんな活動を?


福満 幸いなことに、災害救助や行方不明者の捜索といった活動は今のところありません。水害時に水源地の確認に行ったくらいですね。ただ、いつ何時出動する機会があるかもしれませんので、そのときに備えて月1回の訓練を重ねています。


−男性に交じってのやりにくさはないですか?


福満・中村 それはまったくありません!

中村 それどころか、バイクにトラブルが起こったときに飛んできて対処してくれたり、飲みものやおやつを準備してくれたりと、みなさん本当に女性にやさしいんですよ(笑)


−最後に、これからの意気込みをお聞かせください。


中村 バイク隊員としては、今後も大きな災害がなく、出動する機会がないことを祈るとともに、運転技術を磨き続けていくことです。

福満 女性消防団員としては、これまで主に高齢者宅を訪問してきましたが、今後は、幼稚園や小学校を訪問して、未来を担っていく子どもたちに向けた啓発活動を行っていきたいと考えています。まわりの大人を呼びに行ったり、救急車を呼んだり、幼稚園児や小学生であってもその年齢なりにできることがあるはずですから。知っていることって大切なんですよね。


注目!

宮崎県消防団だより「DAN!!」vol.18

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