令和2年9月6日から7日にかけて本県に接近した台風10号。
椎葉村では土砂災害が発生するなど甚大な被害が生じました。
当時の状況などを椎葉村消防団長の椎葉吉人さんに伺いました。
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令和2年9月6日から7日にかけて本県に接近した台風10号。<br> 椎葉村では土砂災害が発生するなど甚大な被害が生じました。<br> <br> 当時の状況などを椎葉村消防団長の椎葉吉人さんに伺いました。<br><br>
最も被害が大きかった椎葉村下福良の現場
九州全域を暴風域に巻き込んだ台風10号による影響により、椎葉村では大規模な土砂崩れが発生。
地元建設会社の事務所兼住宅が押し出され、近くの川に流されました。
この被害により、9月28日時点で、1人の死亡が確認され、3人が行方不明となりました。
また、不土野地区でも対岸の土砂崩れによる土砂が県道に押し寄せ、1週間にわたって通行不能となりました。
ダムで捜索にあたる消防団員
気象庁によると、総雨量は9月6日だけでも400ミリを超えており、6日、7日の2日間で500ミリ以上の雨量を観測しました。
行方不明者の捜索は、警察・消防、地元消防団のほかに、建設会社、日向市・諸塚村消防団が応援に駆け付け、総勢約2000人による大規模な捜索が展開されました。
災害現場下流での捜索
[団長からのコメント]
直接現場を確認したときは、2次災害の危険があるため消防団員の安全確保を行いながら、一刻も早い救助を実施しなければいけないという非常に困難な状況だと感じました。本村は、消防非常備自治体ということもあり、消防団は地域防災の要として日頃から活動しています。今回の台風10号は、事前に平成17年台風14号と同等の影響と被害が出る可能性が高いという意識を持って、備える段階から、危険箇所の点検や避難誘導などを行い、台風通過後は各地で災害調査などの見回りを実施しました。
今回被災した現場では、現場を確認できた早朝はまだ降雨があったため、それ以外の地域内の巡回を行うと同時に、救助活動の準備をして、地元の建設業者や警察の機動隊と
連携しながら重機やチェーンソーなどを使用して土砂除去を行い、救助・捜索活動を行いました。
本村は、広く急峻な地形から、これまでも台風などの風水害は何度も経験しておりますが、改めて安全な場所はないという認識のもと、消防団はもとより地域住民の方と協
力して防災体制の強化をしていかなければいけないと思いますし、人的被害が起きないようにさらに研鑽を積み重ねていかなければならないと考えています。
令和2年9月6日から25日までの動き(一部抜粋)
9月6日
■朝から激しい雨が降り続ける。椎葉村では、大雨警報が発令され、情報連絡本部設置(午前9時17分)
■村内全域に避難準備情報発令、災害警戒本部を設置(午前10時30分)
■洪水・暴風警報発令(午後1時48分)、村内全域に避難勧告発令、災害対策本部を設置(午後3時)
■下福良地区で土砂崩れが発生(午後8時30分頃)、土砂災害警戒情報発令(午後8時50分)
9月7日
■下福良地区で消防団員が被災現場を発見し、役場に通報(午前6時10分)。駆け付けた役場職員と消防団員が現場で1名を救助(午前6時35分)
■現地災害対策本部を設置。消防・警察など約80人体制で安否不明者4人の捜索が始まる(午前9時54分)
■村内各地で消防団や建設業者などによる被災状況確認・復旧作業が行われる
9月8日~10日
■最大293人体制での大規模な行方不明者の捜索が始まる。現場のほかに下流の塚原ダムまで範囲を拡げて捜索
9月11日~15日
■100人規模で、引き続き行方不明者の捜索
■日向地区建設業協会のボランティアも捜索活動に参加
■現地対策本部解散(15日)
9月16日~25日
■消防団約10人体制で引き続き捜索。日向地区建設業協会のボランティアも引き続き参加
■現場下流の川岸の土砂の中から行方不明者のうち1人の遺体が発見される(17日)
■災害対策本部解散(25日)
出典:広報しいば10月号