宮崎市で輝いている人を紹介する「キラリ! 宮崎人」。 今回は、生産者と生活者をつないで野菜の魅力を発信し続ける、県内唯一のシニア野菜ソムリエ、湯浅まき子さんです。

農家の思い、そして努力が伝わっていない現実に直面

[生産者と生活者の間で交流を生む仲人として]

農家の思い、そして努力が伝わっていない現実に直面

日本野菜ソムリエ協会が認定する資格、野菜ソムリエ。その最高峰であり、全国でも100人ほどしかいない狭き門「シニア野菜ソムリエ」の資格を、湯浅さんは県内で初めて取得しました。「試験は野菜や農業の知識だけではなく、それを世の中にどう生かすのかという、事業の計画性や実行力まで問われるハードなものでした」と振り返る湯浅さん。野菜の魅力や価値を発信するスペシャリストとして、忙しい毎日を送っています。
 湯浅さんが野菜と関わる仕事をするようになったのは、10年余りを過ごした東京から帰郷した、40歳の時。安くておいしい宮崎の野菜に、大きな魅力を感じたそうです。平成22年からの2年間は宮崎大学に在籍し、農業を軸とした地域活性化事業にコーディネーターとして参加。農家が潤う仕組みを創り出すため、大学関係者や農家の取材を重ねていきます。「東京で子育ての傍らライターをしていた経験が、お話を聞いてまとめることに役立ちました」という湯浅さんは、田野町で地域活性化セミナーや特産物を使ったレシピ開発プロジェクトにも従事。その時の貴重な経験から、農家の皆さんの思いや努力などを、生活者に届けることが大切だと痛感します。
 「県内のある地域で講師として取り組んだ地産地消の講座では、野菜の魅力を説いた後に行った試食会が大盛況で、現場で取材されていたメディアの方もたまらず試食されるほどでした。それは、農家の皆さんがどんな思いで野菜を育て、努力し、地域に尽くしているかが伝わったからです。伝われば誰もが魅力を感じて感動できる。必要なのは、生産者と生活者との橋渡し役だと感じました。私がシニア野菜ソムリエを取得したのは、それをしっかりやっていきたいと決意したからです」


生産者と生活者の間で交流を生む仲人として

価格が高い、安いだけで判断されがちな野菜。しかし、その裏で懸命に世話をし、変わりやすい天候や不運な災害にも負けず、まるで我が子のように野菜に愛情を注ぎ続ける農家の姿をもっと知ってほしい、と湯浅さんは話します。
 「農業の盛んな宮崎では、その価値が日常に溶け込みすぎていて、逆に気付きにくい。農学を専攻している大学生ですら、農業の現場を知らない子が少なくありません。私にできるのは、そんな双方の接点を作ることです」
 湯浅さんが関わった農家と大学生との交流事業では、ふだんは寡黙な農家の皆さんが学生と熱く語らう姿が見られるなど、実りの多いものだった様子。生産者と生活者の仲人として、湯浅さんの奮闘は続きます。


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